Contents
led作業灯の防水性能と寿命をアップさせる「ちょっとした対策」とは?
同じ「IP67」表記でも、実際に使うと差が出ることがあります。このページでは、LED作業灯の防水規格の正しい読み方と、当店が第三者機関で取得した検査データ、さらに商品到着後にご自身でできる防水対策までを、現場目線で解説します。
- ❓ IP67とIP68、どちらを選べばいいかわからない
- ❓ カタログの防水表示が信用できるか不安
- ❓ 買ってすぐ、内部に水が入らないか心配
- ❓ 長く使うために自分でできる対策を知りたい
LED作業灯や投光器を始めとするLED商品や電子機器には、IP●●という表記がある商品もあります。作業灯で言いますとIP67が一般的です。しかし、購入したお店によっては「使用後すぐに作業灯に水が入った」「交換してもらったけれど、やはり水が入る」といった形で、店舗に書かれている表記は同じでも、実際に使った際の状況が違うというケースもあります。今回は、LED作業灯の防水規格に関することと、商品到着後にひと手間かけることで作業灯の寿命もアップする防水対策を中心にお伝えして参ります。
1. LED作業灯の防水規格の表示に関して
まず防水規格に関してですが、IP×●といった形で、IPの後に続く二けた(もしくは一けた)の数字で表現されることがあります。このうち下一桁の数字が防水規格となります。防水規格は全部で9段階あり、作業灯で一般的な物は5から7となります(IP67等と表記されているのが一般的です)。
「数字が高い方が性能が良い」ということでIP68が一番良いと思いがちですが、IPX8は水中での使用に関する耐性なので、水中で作業灯をお使いいただく以外には必要のない品質水準となります(価格が同じであればIP68の方が良いとは言えますが)。また、防水規格はそれぞれで求められる内容が異なっており、作業灯をお使いいただく上で、一概に防水規格が高いから優れているとも言えない一面があります。
| コード | 確認している内容 |
|---|---|
| 1桁目(防塵) | 0〜6(6=粉塵の侵入なし) |
| IPX5 | あらゆる方向から勢いのある水流を直接当てても有害な影響がない |
| IPX7 | 一定の水圧で一定時間(30分間)水中に浸かっても有害な影響がない |
| IPX8 | それ以上(メーカー規定の条件) |
ポイント:IPX5(噴流)とIPX7(浸水)では、防水に対しての確認項目そのものが違っています。つまり「防水」と一口に言っても、想定している水のかかり方が異なるということです。
2. IP67・IP65を取得した方がいい理由
ここでよく見ていただきたいことがあります。IP67は水に浸かった際の内容、IP65は様々な方向から水が掛かった際の内容ですが、水中での完全防水のIP68よりも、IP67とIP65の規格を満たしている方が現実的に役立つことが多かったりします。例えば、LED作業灯を毎日ご使用する際に水に浸けて使用するシーンよりも、設置した機器と一緒にホースを使って水洗いする方が多くないでしょうか。例えばこんなシーン↓↓
作業灯を上記写真のように洗浄した際ですが、IP67(IP68)ではこのようなケースは規格に含まれていないのです。つまり、色々なショップで「IP67取得済み」と記載があっても、それだけでは実際の事例で考えると不十分ということになります。NLAセレクトではIP67を取得後に工場と協力をして、作業灯に水が入らないよう製造時の品質を高くするための工夫等を進めてきました。
NLAセレクトの作業灯では製造時にしっかり防水コーティングを行い、安価な作業灯で発生しがちな作業灯内への水の侵入を防ぎます。
なお、水没・水田・漁船・高圧洗浄など「水に浸かる・強い水圧が常時かかる」現場では、より上位のIP68が特に役立ちます。逆にそれ以外の一般的な屋外使用では、IP67・IP65で十分に実用に足ります。等級は高いほど良いのではなく、使う場所に合わせて選ぶのが失敗しないコツです。
| 用途 | 水のかかり方 | 目安の等級 |
|---|---|---|
| トラクター・農機 | 雨/泥/洗浄 | IP65+IP67 |
| 除雪機 | 雪/融雪水(低温) | IP67(低温は別記事) |
| 建機・重機 | 泥/洗浄/振動 | IP67+振動対策 |
| 軽トラ荷台 | 雨/走行の水はね | IP65+IP67 |
| 船舶・漁船 | 波飛沫/塩害 | IP67+塩害対策(別記事) |
3. 第三者検査で証明された防水品質
NLAセレクト独自に検査機関へ依頼した内容
製造時の工夫だけでは、お客様にご安心いただくための客観的な証拠が足りないと判断し、NLAセレクトでは独自に検査機関へIP65の追加検査を依頼し、検査にも合格しております(2017.4)。
IP65のテストをNLAセレクト独自に検査機関へ依頼して行った際のレポートです。
IP65の実際のテストを行った際の様子です。
さらに、水深10m・2時間のIP68試験にも合格しています
2017年のIP65自主検査に加え、NLAセレクトでは2022年、第三者検測機関である北測検測(NTEK)にて、国際規格 IEC 60529 に基づくIP68(防塵IP6X+防水IPX8)試験を実施しました。48W・15Wの両モデルとも、水深10m・2時間の浸水試験に合格しています(粉塵の侵入なし・浸水なし・試験後も点灯正常)。
| モデル | 試験項目 | 水深/時間 | 規格 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 48W | IP6X+IPX8 | 水深10m / 2時間 | IEC 60529 | 合格 |
| 15W | IP6X+IPX8 | 水深10m / 2時間 | IEC 60529 | 合格 |

IP68 防塵試験の様子(IP6X・粉塵チャンバー)

IP68 防水試験(水中浸水)の様子

試験後の点灯確認(48W作業灯)
IP68は本来「水中で使う」ための規格で、屋外作業に必ずしも必要な水準ではありません。それでも当店が規格の求める以上の条件(水深10m・2時間)で試験を行うのは、防水等級を誇るためではなく、製品そのものの密閉品質を客観的な数字で証明するためです。
密閉品質を内側で支える防水パッキン
この密閉品質を内側で支えているのが防水パッキンです。当店の作業灯は、使用温度範囲が広く屋外の寒暖差に強いシリコン素材のパッキンを採用しています(工場でも「総合性能が優れるため」としてシリコンを選定)。通常使用で3〜5年の耐用性を持ちます(メーカー確認による)。
| 素材 | 一般的な特性 |
|---|---|
| NBR | 耐油性が高いが耐候性はやや弱い(油の多い環境向け) |
| EPDM | 耐候性が高く屋外向き。鉱物油に弱い |
| シリコン(当店採用) | 使用温度範囲が最も広い(約-60〜230℃)。屋外の寒暖差に強い |
| FKM | 耐薬品性が高いがコスト高・低温にやや弱い |
| TPE/TPU | 加工しやすく再利用性がある |
※素材特性は一般的な知識です。本製品の採用素材はシリコンです。
カタログのIP表記の数字だけを比べるのではなく、「第三者の検査で裏付けられているか」も、作業灯選びの判断材料にしていただければと思います。
4. 浸水経路と、購入後にできる防水対策
防水対策を考える前に、水の入り口を知っておくと選び方が変わります。主な浸水経路は、①レンズとケースの継ぎ目、②配線の引き込み部(ゴムブッシュの経年硬化)、③温度差による内外の圧力差、④振動でできる微小な隙間、の4つです。IP等級は主に①③の「静的な防水」を見る指標で、②④は使い方・設置で差が出ます。だからこそ「等級」と「設置の工夫」の両面が必要になります。
ここまでは製品側の防水品質(設計と第三者検査)のお話でした。ここからは、お手元に届いた後にご自身でできる対策です。後付けのシリコン加工は品質の“土台”を替えるものではなく、使用環境に合わせて密閉性を補い寿命を延ばす「補助策」としてお考えください。
ちょっとしたLED作業灯の防水加工
先程までお伝えしてきたIP67のLED作業灯ですが、毎日作業灯に水が掛かったり、水気の多い場所でのご使用では、レンズ内部に水滴が発生する確率が高くなりがちです。原因として一番考えられるのは、作業灯から伸びている配線のゴムの部分が毎日水が掛かると硬化していき、配線との間に僅かな隙間ができて水分が入ってしまうケースです(当店の作業灯に関しても経年劣化による隙間等の発生の可能性はございます)。また、作業灯の設置位置によっては、水滴が振動を伝い作業灯内部に侵入する場合もございます。そのため、LED作業灯の内部に水が入らないようにする方法として、NLAセレクトでは以下の場所にシリコンを塗ることをお勧めしております。
作業灯の防水性能を強化するためにシリコンを塗った方が良い場所です。
作業灯をご使用する環境が「水を使う」場合には、ご使用になる前に“シリコン”を塗っていただき密閉性を高めておくことで、何も対策を施さない場合よりも、長期間にわたり作業灯の水に関する問題を低減できますのでお試しいただけたらと思います(特にNLAセレクト以外のお店で購入したLED作業灯)。シリコンでコーティングした後は、このような感じになります↓↓
お客様のお手元に作業灯が到着した後に防水コーティングしていただいた際の写真です。
それでも水が浸入する場合の防水対策(振動対策)
上記で説明した作業灯の背面を防水コーティングする方法により、作業灯の防水性能はさらに高まった状態となります。ただ、車両系に作業灯を設置された際にタイヤ周りでお使いの場合には、他の設置箇所と状況が少し異なります。理由としましては、作業灯に伝わる振動で短時間に激しく小刻みに振動した場合、防水加工がしっかり出来ていても、レンズの中に水滴が発生してしまう場合があるためです。
こちらに関しては、作業灯をお取付けいただく前に振動対策を行っていただくことで、振動による内部での水滴発生を防ぐことが可能です。具体的な対策は、「ご使用機器と作業灯との間に、シリコン製やゴム製のプレート状の物を挟んで作業灯を設置する」という方法です。
作業灯を設置した機器からの振動が原因で内部に水滴が発生してしまったケースです。
シリコンやゴムがご使用機器から作業灯への振動を和らげてくれることで、内部での水滴発生が防げるようになります。また、振動が減ることで作業灯内部の基板への負担も軽減されるため、点灯不良になる頻度も抑えることが可能です。ひと手間かかる作業となりますが、作業灯の寿命を延ばすことができますので、振動が気になる箇所へ設置される際にはぜひお試しください。
5. 用途別の注意(船舶・除雪機など)
塩害が気になる船舶・漁船、低温環境の除雪機など、現場ごとの選び方は専用記事で詳しく解説しています。防水等級だけでは測れない塩害・低温は、それぞれの記事をご参照ください。
まとめ:防水は「選ぶ時」と「使う時」の両面で
- 作業灯をお選びいただく際に判断できること:用途に合った等級を選び、第三者検査で裏付けられているかを確認する
- 作業灯をご購入いただいた後にできること:シリコン加工で密閉性を補い、振動対策で内部の水滴と基板への負担を減らす
パッと見の安さだけではなく、色々な視点からご判断いただくことで選択内容も変わってくるかと思いますので、あなたに最適な作業灯選びのご参考になれば幸いです。この他に、作業灯をお使いいただく際にありがちなトラブルについても纏めておりますので、ご興味がありましたらこちらにも目を通していただけたら幸いです。







